オキュロリンクタス2009-01-11

『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』を観る。

『パンズ・ラビリンス』のペイルマンで忘れがたい印象を残したギレルモ・デル・トロの監督作品で、マイク・ミニョーラの『ヘルボーイ』の映画化二作目である。ペイルマンは本当にすばらしい造形だった。今回もギレルモ・デル・トロの趣味に走ったモンスターの数々がニューヨークの地下でうごめいている。マイク・ミニョーラのヘルボーイとはだいぶ手触りがちがう。ミニョーラのヘルボーイは切り絵のようにソリッドな黒の効いたカラフルな絵で表現されるが、デル・トロのヘルボーイは、ぬめっとしてあまり触りたくない見た目のものに満ちている。

お話の方は、シャイボーイ二人のラブストーリーを軸に進むので、そういうのがさして好きでないと、「どうってことないなー」で終わってしまう。物語のパーツとしてもっとも力点を置かれているのがラブストーリーで、その他のパーツは、見たことのある意匠がきちんと組み合わせられている感じ。

しかしギレルモ・デル・トロは、目玉だけ別のところに配置されているってのが好きなのかな。前回のペイルマンは手のひらで、今回の死神は羽根である。トゥースフェアリー(ここでは人を食い尽くす小さいが凶悪なモンスターだ)が最初に人を食べるシーンで、トゥースフェアリーの歯のあいだから食べかけの目玉が覗くあたり、何でそんなに目玉が好きなんだ…と思わずにおれない。これが眼球愛好というやつだろうか。