Just Data2009-11-07

Amazon Kindleは売れてないし、今後も売れないだろう----というのが一般的な見方のようで、「え、買ったの?」と驚かれることしばしばだ。ああ買ったとも。USで発売されたときからほしくて仕方なかった。使い始めてから数週間が経過し、いくつか問題はあるもののおおむね満足している。残念な点はページが切り替わる時に画面が黒く反転するところ、ブログの購読ができないところ、電車で立ってる時に片手で持つにはいささか大きく、操作性が下がっちゃうところ。…英語版だってところ。素晴らしい点はプロバイダや携帯電話会社と契約なしに即座にAmazonに接続できるところ、思ったより本の種類が多く、かつ安いところ、単語にカーソルを当てると勝手に辞書引いてくれるところ。

あんまり売れないだろうな、とは思う。iPodでたとえばアルバム1枚買ったとして、視聴に要する時間はだいたい1時間くらいだろう。Amazon Kindleで本1冊買うと、短くて数時間、長ければ1週間はかかる。同じ15ドルと考えたら、音楽の方がはるかに売れそうだ。それに、音楽は受動的な聴き方が可能だけど、本を読むには多少なりとも能動的にならなければ。ちょっと敷居が高いわな。

もうひとつ、今のiTunesStoreではアルバム丸ごと買わなくても1曲ずつばら売りしてくれる。本についてはそうは行かない----たとえ中身はシングル1曲分しかないようなビジネス書でもだ。1曲ずつのばら売りに近い商売をするとしたら、中身はブログやメルマガみたいなものになるのだろうが、有料のブログやWEBマガジンやメルマガがあんま成功してなさそうなところを見ると、それも厳しそうだ。

あと言われるのが、本屋で本を買って紙のページを捲り読み終わった本を書棚に並べておく、という一連の工程すべてが読書なのであって、端末で読むなんて----という意見。本の物質的な側面については、本も音楽もデータさえあればいいという立場の私には理解できない。でも、本屋で面白そうな本を物色して回るのは私にとっても楽しいことだ。ちょっと不思議になるのは、皆さんWEB上では同じことをやらないのかと。WEB上でも似たようなことをやるためのシステムはいろいろ用意されているし、ぜんぜん知らなかった本に出会うことも少なくはないのだが。

ヴァーチャルセックスを非難するのと似たような目で見られることさえあるのだが、こと媒体に関して言えば、オプションが増えたのは実に喜ぶべきことだ。データさえあればいいという立場はそんなに珍しいのかな。